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生体有害性に関連する微小粒子状物質の物理化学特性の解明

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生体有害性に関連する微小粒子状物質の物理化学特性の解明

慶應義塾大学理工学部応用化学科奥田知明准教授は生体有害性に関連する大気中にある微小粒子状物質エアロゾルの物理化学特性の解明を目指し、エアロゾルの捕集技術、表面積、それから帯電状態の3つをキーワードに研究を進めています。

これはモチベーションとしましては、エアロゾル粒子、実際の大気中にあるエアロゾル粒子を用いて細胞への曝露実験を行いたいというモチベーションがあります。従来法ではフィルターを使ってそれに粒子を集めていました。そうすると、どうしても目詰まりしてしまい大量に集められないとか、あと細胞に曝露実験をする時に、そのフィルターから粒子を集めて曝露するという場合には、フィルターそのものの成分がどうしてもネガティブに効いてしまうということがありました。それが問題でしたが、それを解決するために、我々の方法ではサイクロンを用いて粒子を採取しようとしています。そうすることによって大量に採取でき、しかもフィルターを使わないのでフィルターによる影響もないということで、細胞曝露実験に適しているのではないかと考えています。

現在、直径2.5ミクロン以下の微小粒子状物質PM2.5の健康への影響が懸念されています。奥田准教授はPM2.5粒子と黄砂粒子などを含む粗大粒子を同時に採取するための大流量同時採取装置を開発しています。この装置はバーチャルインパクターを用い、装置の中に空気を大量に高速で引き入れることで微小粒子と粗大粒子を分けることを可能にし、後続のサイクロンによりそれぞれの粒子を採取することができます。

なぜ粒子の表面積と有害性が関連するかということですが、粒子が体内に取り込まれた際に、生体内で粒子の表面で起こる反応ですね。例えば生体内における活性酸素ができるという反応があります。そういう化学反応、粒子の表面で起こる化学反応はその粒子の表面積に比例しているとの報告があります。また、環境中にある汚染物質を体内に取り込むということを考えますと、環境中に共存する有害物質は粒子表面に吸着しますので、表面積が大きい方が汚染物質が体内に入りやすい。粒子表面の化学反応が促進されるということと、それから物理的吸着が促進されるという2つの観点から粒子の表面積と有害性は関連すると考えています。

微小粒子であるカーボンナノチューブをマウスに投与した実験では、カーボンナノチューブの表面積が大きくなると、マウスの気道の細胞の炎症活性が上がることが判明しています。奥田准教授は拡散荷電法という方法を用いることで大気中を飛んでいる粒子の表面積をリアルタイムで測る観測を開始しています。この方法では、たくさんのイオンを発生させた空間にエアロゾル粒子を通すことで、エアロゾルの表面積に比例してイオンが付着し、その下流でイオンの電気量を測ります。現在、大気中のエアロゾルの表面積は、エアロゾルを構成するある特定の化学成分の挙動にかなり支配されているということが分かってきました。

エアロゾルの帯電状態も有害性と関連があると考えています。これも過去に報告例がありまして実験結果があるんですけれども、それは人の気道ですね、気道の鋳型の模型を用いた粒子の沈着実験というのが行われています。人の気道鋳型の模型に帯電した粒子と帯電していない粒子を通して、沈着の違いを見た研究があります。その報告によりますと、帯電している粒子は帯電していない粒子に比べて6倍も多く気道についたというそういう報告があります。そうしますと、6倍多く体につくということですから、体から見ますと化学物質が6倍多いということと同じことになりますので、これは人の健康、有害性にかなり大きく影響しているのではないかと。人の健康に大きく関連があるのではないかというふうに考えています。ですが、大気中の実際のエアロゾルの帯電状態というものを調べたという報告例がほとんどありません。

奥田准教授は、粒子の帯電状態の計測方法として平行の電極板を用意し、その中央からエアロゾルを導入しました。電極板には電場がかかっていることから、帯電していない粒子はそのまま真直ぐ進み、帯電している粒子はどちらかに分かれて進みます。これにより下流で分岐させ、分岐したそれぞれの流路で粒子を数えることで、エアロゾル粒子の帯電状態を測ることを考えています。それからまた別の方法では、原子間力顕微鏡の一種のケルビンプローブフォースマイクロスコピー(KPFM)という方法があります。

これにより、粒子がある基板上に乗っていたとして、その粒子と短針の間の静電気力を検出することができます。これは一粒子について測ることができますので、ある粒子について帯電状態を測ることができるのではないかと考えています。同時に粒子一個の分析というのはこのKPFMだけではなくて、例えば電子顕微鏡ですね、SEMですね、でも測ることができますので、全く同じ試料をKPFMで測ったあとにSEMでも測って、帯電状態と化学組成(の測定)を同じ粒子についてやろうということを考えています。これについては、第一段階の論文がこのほど受理されたところです。

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