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流れの制御による環境負荷の低減を目指して

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流れの制御による環境負荷の低減を目指して

慶應義塾大学理工学部機械工学科 深潟(ふかがた)研究室では、流体の流れの自在な制御を通じて、環境負荷の低減に寄与する基礎技術の研究を行っています。具体的には、壁に沿う乱流の摩擦抵抗の低減による「空力抵抗の低減」、および、物体から放出される渦の抑制による「流体騒音の低減」に関する研究に力を入れています。

空力抵抗は、流れの中にある物体の圧力差による「圧力抵抗」と流体の粘性によって物体の壁面に働く「摩擦抵抗」に、大きく分けられます。例えば航空機や新幹線車両などでは、全空力抵抗の半分もしくはそれ以上が「摩擦抵抗」によるものであり、エネルギーの無駄使いの大きな原因になっています。 「圧力抵抗」の低減に関しては、これまでに例えば新幹線車両の先頭形状の進化に見られるように、形状最適化による抵抗の低減がなされているものの、もう一方の「摩擦抵抗」の低減に関しては殆ど手がつけられていません。そこで、我々の研究室では流れに外から何らかの力を加える「能動制御」によって、壁に沿う乱流の摩擦抵抗を低減させる手法を開発しています。

乱流の摩擦抵抗と乱れの応力の間には深潟教授らが2002年に発表した「FIK恒等式」という数学的関係があることが知られていますが、その知見をもとに試行錯誤を続けた結果、「進行波状壁面変形」を用いることによって、乱流を層流に変えることができ、その結果、約70%の摩擦抵抗低減が達成できることが数値シミュレーションによって確かめられました。

実際に進行波状壁面というものを作るのはコストも非常に掛かりますし、難しいですのでできればこれを固定波状壁面、まあ動かない壁面ですね、動かない形状最適化にも似ていますけど、それによって同じような抵抗低減効果を得られる、そういう手法を開発していきたいと考えております。 もう一方の「流体騒音の低減」に関しては、鉄道総合技術研究所との共同研究として、パンタグラフの集電部である「パンタグラフ舟体(ふなたい)」に、「プラズマアクチュエータ」という能動制御デバイスを取り付け、パンタグラフ舟体から放出される渦の抑制の風洞実験を行っています。

同実験ではこれまでに、比較的低速の流れの条件では騒音の原因となる渦をほぼ完全に抑制できることが確かめられており、今後、新幹線の速度に対応する高速な流れの条件での効果の検証を行っていきたいと考えています。

例えば「空力抵抗の低減」に関して、日本の航空輸送だけ考えたとしても、もし空力抵抗を今の半分にすることができれば、年間約20億リットルの燃料の削減ができ、環境負荷の低減に対して大きく寄与することができます。「空力抵抗の低減」、「流体騒音の低減」どちらの場合でも、理論的考察に基づいて制御方法を考案し、その制御方法の効果を数値シミュレーションを用いて検証し、さらに風洞実験を用いて実証する、というステップを踏むことにより、今後も理論に立脚した確実な制御手法の提案をしていきたいと考えています。

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